外傷

外傷の治療で重要なポイントが3つあります。

①感染のコントロール  ②機能の保全  ③きれいに治す

①感染のコントロール  受傷後すぐに来院していただければ良いのですが、時間がたつと感染のリスクは増えます。深部が感染していたと予測されれば躊躇せずに切開を加えて膿を出します。感染のリスクが高い時は、創の近くにも抗生物質を注射して、感染を未然に防ぐようにします。

②機能の保全  一見、表面が切れているだけと思って皮膚を縫合しても、実は腱が切れてたということは時々あります。傷が治っても指が動かない、といったことが起こります。それ以外にも解剖学的に重要な部分を損傷して、本来の機能が失われることがあります。「この傷はひょっとしたら」と直感を働かせることが重要で、これは知識と経験がものを言います。

③きれいになおす  いくら機能が保全されても、傷が醜いと、その人のQOLを下げてしまいます。きれいに治す原則は、解剖学的にできるだけ元どおりに修復させることです。皮膚を縫合する場合は、コンマ1mmの食い違いにも気をつけて縫合するようにしております。ただ、感染のコントロールがうまくいかなかった場合には組織のダメージが残り、きれいには治りません。くれぐれも、受傷後なるべく早く、ご来院下さい。

<お待たせしてすみません> 当院では通常の診察中であっても、緊急を要する外傷の患者さんが来たときにはそちらを優先にします。このような場合、他の患者さんをお待たせてしまうことがありますが、どうぞご理解をお願いいたします。

よくある質問(FAQ) -3-

Q1:傷を縫ってもらいましたが、どれぐらいで糸は抜けるのですか?

A1:皮膚の緊張のかからない部分(顔や手など)は大体1週間ぐらいで抜糸できますが、緊張のかかる部分(膝関節や胸部・背部など)は少し長くおいておくことが多いです。

Q2:昔の傷跡が気になりますが、なにかいい方法はありませんか?

A2:線状もしくは幅が狭いの傷跡であれば、切除・再縫合すれば目立たなくすることができます。また、関節付近の傷で関節の動きが妨げられているような場合には癒着をはがしたうえで形成術を行い、関節の動きを改善します。いっぽう、広い範囲にわたる傷跡は、CO2フラクショナルレーザーで改善できます(保険適応外)。ただし、ケロイド(体質が関係)のようになった部分は、かえって傷跡が広がったりしますので、注意を要します。